ヴァンパイア十字界 読了



城平京原作の漫画です。
ストーリーに収拾がつかなくてうやむやのうちに終了してしまう昨今、
まだ比較的うまくまとめた形で終了したのは良しとすべきでしょう。
いや、かなり好かったと思います。
どんなにいいアイデア、展開であったとしても、収拾がつかなければ意味がありません。
最終刊は意外性なくて今までの話を収束させるのに精一杯だったようで、
話の内容がある程度読めてしまったのは残念でしたが。
以下、ネタバレです。

個人的には、ビッグモーラ・星人フィオの扱いとヴァンパイアの扱いがあまり頂けません。
ビッグモーラ・星人フィオが出てきた当初は、
実はヴァンパイアと同種族、あるいは同種の力を持つ存在で・・・
ヴァンパイアだけでは制御しきれない存在で、ますますピーンチ、ってなのを
予想してたのですが、よくよく考えてみるとこの場合ストーリーを収束させることは
不可能に近いですねぇ。
でも、ビッグモーラ・星人フィオの扱いが単なるヴァンパイア、ダムピール、人間の共通の敵
としての「鍵」でしかなかったのは、ちょっと寂しいなあ。
あと、ヴァンパイアの設定が反則です。
なんでもOKにしてしまって、細かな矛盾点とか、ストーリー展開が難しいとき、
さらっと問題を解決してくれる。はっきりいって、トランプでいうジョーカー的な存在です。
なので、
実はストラウスが太陽の光に屈しないと言われたときには、
「そんなのありですか!?」
宇宙空間でも行動ができると言われたときには、
「ああ、そうなんですか・・・」
てなかんじで、たいして驚きがなかった。
この二つの要素はヴァンパイア、ダムピール、人間の戦況を一変してしまう重要事項であるにも関わらず。
まあ、これも上記の要素がなかったらストーリーの収束は難しいかなあ。でもちょっと安易かなあ。


あと更に、
星人フィオとかもっと絡めて、昨日の味方は、今日の敵みたいなかんじで
立ち位置がころころ変わるような展開も期待していたのですが、
それやともっと収拾つかないなあ。まあ少年誌やし、ここらぐらいでちょうどいいのかも。


それでも良作であることには変わりありません。
登場するキャラは立っているし、展開される心理戦、様々な思惑なんかもいいかんじで
ストーリーを引き立ててます。
個人的に一番のキャラはやっぱブリジットですか。
ストラウスのためにうさぎさんりんごをつくり、
「ストラウスの邪魔は私がさせん」
とかいってるキャラの壊れっぷりが、おもしろかったり。